南アルプス市が市民、観光客、事業者の皆様方と協働して積極的に景観まちづくりを進めていくため、景観法に基づく「南アルプス市景観まちづくり条例」及び「南アルプス市景観計画」を策定しました。「奥ゆかしさと本物を誇る風景づくり」を基本理念とし、「自然・歴史風土に根ざした風景づくり」「おもてなしと活力ある風景づくり」「協働による風景づくり」を目標に、本市の特徴ある風景が将来にわたって継承されるよう、景観まちづくりを進めていきます。
計画の目的
「景観法」は、平成16年6月に制定された都市や農山漁村における良好な景観を形成するための我が国はじめての景観についての総合的な法律です。また、「景観計画」とは、「景観法」に基づき、景観行政団体(地方自治法上の指定都市、中核市または都道府県等)が良好な景観の保全・形成を図るための法定の計画です。
景観に対する市民の意識が高まる中で、景観法の制定を受け、全国の多くの自治体で「景観計画」の策定を中心に景観行政への取り組みが加速しています。
本市は、平成17年9月に景観法に基づく「景観行政団体」になりました。「南アルプス市景観計画」は、「南アルプス市らしい景観づくり」を総合的かつ計画的に推進するため、市民の皆さんの声を反映し、景観形成の理念や目標、景観形成の方針、実現に向けた取り組みなど、市民・観光客、事業者、行政に共通する協働の指針として作成することを目的としています。
南アルプス市の景観づくりは、この計画に掲げた様々な指針に基づいて、市民・観光客、事業者等と行政がお互いに手を携えて一歩一歩着実に進めていきます。
本計画には、本市のかけがえのない美しい風景に誇りと愛着をもち、次代を担う子どもたちに引き継いでいくという市民の熱い思いが込められています。
計画の位置づけと役割
「南アルプス市景観計画」は、景観法に基づく法定計画として定めるもので、上位計画である「第一次南アルプス市総合計画」(平成17 年3 月)に即しつつ、本市の景観形成に関する総合的な施策、市民・観光客、事業者、行政に共通する協働の指針として位置づけられます。
今後、景観形成活動、景観事業、地域ルールづくり、景観コントロールなどの景観形成に関することは、この指針に沿って進めていくことになります。
また、景観形成をより強力に推進していくため、景観法や景観計画に加えて、「南アルプス市都市計画マスタープラン」(平成19 年3 月)などの関連計画との連携や都市計画法、建築基準法、都市緑地法、屋外広告物法などの景観形成に係わる法律等の活用を図ります。
計画の進行管理
本計画の実現を図るためには、市民・観光客、事業者、行政等が協働し、長い時間をかけて一歩一歩進めていく必要があります。
このため、今後の市民ニーズや本市をとりまく社会・経済環境の変化、国や山梨県の景観施策の変更等などを踏まえ、概ね5年ごとに必要に応じて計画の見直しを行うなど、計画の進行管理を図っていきます。
策定体制
「南アルプス市景観計画」の策定にあたっては、計画づくりの初期段階から景観アンケート調査の実施、市民参加による「風景づくり市民懇談会」や「風景づくりシンポジウム」の開催など、市民意見の把握と計画への反映につとめながら、次のような体制で策定を進めてきました。
- 「策定体制」
- 策定検討会
- 庁内検討会
- 風景づくり市民懇談会
- 事務局(南アルプス市都市計画課)
- 策定検討会
- 「市民参加」
- 市広報ホームページ
- 景観アンケート調査
- 景観まちづくり講演会
- 風景づくりシンポジウム
- パブリックコメント
「策定体制」から公募、お知らせ、報告、調査を行い、「市民参加」による市民意見を反映する
策定検討会
有識者や学識経験者をはじめ、議会代表、団体代表、地域代表、市民懇談会代表、行政関係者(南アルプス市、山梨県)からなる「南アルプス市景観計画策定検討会」を設置し、景観計画を総合的、専門的な見地から検討してきました。
庁内検討会
南アルプス市関係各課からなる「南アルプス市景観計画庁内検討会」を設置し、所管課の景観形成に関する方針、計画や事業等の調整など、行政の立場から「南アルプス市景観計画」の素案の検討を行ってきました。
風景づくり市民懇談会
公募や地域の推薦に応じた市民で構成される「風景づくり市民懇談会」を設置し、市民の視点から地域の身近な景観のあり方を検討し、検討成果を「風景づくり市民プラン」としてまとめ、市長に提出しました。
ここでの市民の提案が、「南アルプス市景観計画」の基礎になっています。
景観計画の区域
南アルプス市の景観の特徴は、南アルプスの山岳地帯とそれに連なる山々、扇状地や低地部、大小の河川等が織りなす大地の構造を土台に、豊かな自然景観、まちや農山村景観、歴史文化的景観などが展開しており、これらが融合して南アルプス市らしい風景を形づくっています。
このため、景観法が定める景観計画の趣旨を考慮し、南アルプス市らしい個性と魅力ある。
景観形成を図るために、自然公園地域を含めた市域全体をひとつの景観計画区域として定めます。
また、景観計画の中では、市内を様々なエリアに分け、そのエリアごと周辺の景観に合った景観形成を行うこととしています。
【景観エリアの区分】
【田園居住景観エリアのゾーン区分】
山岳景観エリア【北岳の景観】 樹園集落景観ゾーン【モモ畑と北岳】 まちの景観ゾーン【道の駅しらね】
景観形成推進ゾーン
南アルプス市景観計画の中で、景観形成を考えるうえで、南アルプス市らしさを象徴する特に重要なエリアを「景観形成推進ゾーン」として位置づけ、重点的に維持・保全などの景観施策を推進しています。現在、市内の景観形成推進ゾーンは、以下のとおり10か所を候補地として選定しています。
景観形成推進ゾーンの選定の考え方
- 南アルプス市らしさを象徴する良好な景観ゾーンで、景観の保全が必要なところ
- 本市の景観の拠点、顔として、良好な景観形成が望まれるところ
- まちづくりに関するプロジェクトが実施あるいは計画されているところ
- 市民の発意により、景観まちづくりに関する取り組みが行われているところ 等
景観形成推進ゾーン候補地の選定
①アルプス通り景観ゾーン(シンボルロードにふさわしい美しいみちづくり) ②甲斐芦安線景観ゾーン(南アルプスと御勅使川歴史ゾーンに誘う観光道路の景観づくり) ③御勅使川歴史的景観ゾーン(御勅使川ゆかりの歴史文化的ゾーンの景観づくり) ④核となる市街地景観ゾーン(本市の核となる市街地ゾーンの景観づくり) ⑤小笠原商店街周辺景観ゾーン(地域の中心にふさわしい景観づくり) ⑥法善寺周辺歴史的景観ゾーン(甲斐源氏ゆかりの歴史を生かした景観づくり) ⑦河川合流部水辺景観ゾーン(河川合流部の特異な構造と水辺を生かした景観づくり) ⑧市之瀬大地文化的景観ゾーン(本市を代表する文化的景観ゾーンの景観づくり) ⑨曲輪田地区農村景観ゾーン(本市らしさを伝える美しい農村景観づくり) ⑩飯丘山周辺景観ゾーン(里山を生かした観光レクリエーション拠点の景観づくり)
【景観形成推進ゾーン候補地の位置】
飯丘山周辺景観ゾーン 市之瀬台地文化的景観ゾーン 法善寺周辺歴史的景観ゾーン
景観計画の構成
「南アルプス市景観計画」は、法定計画であると同時に、今後の風景づくりに市民・観光客、事業者、行政等の共通の指針として活用できるよう、次に示すように大きく3つの内容で構成しています。
景観形成方針に関する事項
南アルプス市の景観形成に向けた基本理念や目標、良好な景観形成に関する方針など、市民・観光客、事業者、行政等が協働で取り組むべき共通の指針(ガイドライン)を示しています。
法に基づく制限事項や基準など
良好な景観形成を図るため、行為の制限など、法に基づくルール(届出対象行為、景観形成基準など)を示しています。
計画の推進に向けて
本計画の推進に向け、協働による景観まちづくりの基本的な考え方や計画の実現を図るための取り組み施策等について示しています。
- 南アルプス市景観計画
南アルプス市景観計画 奥ゆかしさと本物を誇る風景づくりをめざして(PDF 240KB)
はじめに・目次 (PDF 367KB)
序章 景観計画について(PDF 587KB)
第1章 南アルプス市の景観特性と課題(PDF 2.66MB)
第2章 景観形成の基本的な考え方(PDF 1.13MB)
第3章 良好な景観形成に関する方針(PDF 3.65MB)
第4章 良好な景観形成のための行為の制限事項 (PDF 815KB)
第5章 景観資源の質的向上に関する事項 (PDF 1.46MB)
第6章 計画の推進に向けて (PDF 1.93MB)
参考資料 (PDF 3.92MB)
南アルプス市景観計画 裏表紙(PDF 49.8KB) - 景観計画概要版.pdf (PDF 5.67MB)
- 南アルプス市景観まちづくり条例(PDF 316KB) 南アルプス市景観まちづくり条例(DOCX 177KB)
- 景観法に基づき、「南アルプス市景観計画」の運用に必要な事項など、景観形成に関する制度を定めています。
- 南アルプス市景観まちづくり条例施行規則(PDF 1.68MB) 南アルプス市景観まちづくり条例施行規則(DOCX 1.7MB)
南アルプス市景観まちづくり条例を運用するための規則を定めています。
- 景観形成地域の区分図(PDF 31.1KB)
南アルプス市の景観形成地域の区分図です。
全ての建築行為や土地開発等のうち、その行為により周辺の景観に影響が大きいと考えられる一定規模以上の行為については、届出対象行為として位置付け、市は届出が提出された行為の内容を景観形成基準に照合し、適合であれば、原則として30日以内に回答することとなります。また、不適合と判断した行為については、勧告することとなります。こうした法に基づく届出制度を実施することにより、良好な景観形成を促進します。