南アルプス市景観重要樹木について
景観重要樹木は、特に「景観的な価値」が重視され、地域の景観にとって重要なものであること、また、樹木の姿が地域を特色づけるシンボルとなっていて誰でも容易に見ることができ、地域住民にとって親しみや愛着の深い樹木が対象となります。
指定第1号 釜無川右岸 上高砂堤防松並木
市は八田地区の野牛島から上高砂にかけて広がる釜無川右岸の上高砂堤防松並木を景観重要樹木として平成26年3月30日に指定しました。
県内初の景観重要樹木の指定、また河川敷の樹木の指定は全国初となります。
指定概要
名称
釜無川右岸上高砂堤防松並木
樹種
松14本(赤松13本 黒松1本) ※記事掲載時
※松くい虫(マツノザイセンチュウ)による松枯れ等による伐木のため、平成26年度指定時より本数が変更になっています。
指定時本数 松31本(赤松25本 黒松6本)
所在地
南アルプス市釜無川右岸堤防(信玄橋~双田橋) 景観重要樹木位置図.pdf (PDF 467KB)
所有者
国土交通省
管理者
南アルプス市・上高砂区
指定年月日
平成26年3月30日
指定番号
第1号
概要
全長約1.8キロメートルに及ぶこの堤防には、明治時代の中頃以降、先人たちが水害から堤防や住民を守るため、多数の松が根固めとして植えたと言われています。現在も残る松並木は、地域の水害防備の歴史を今に伝える重要な樹木であるとともに、地域の景観形成に重要な役割を果たしています。
上高砂地区は古くから度々水害に悩まされてきた地域で、人々は何世代にもわたって堤防を造り、水害対策を行ってきたといいます。現在の松並木は明治29~43年の堤防改修の際に植樹されたと考えられています。
100年あまりの時を経る中、残った31本の松並木を歴史的背景と併せて後世に引き継いでいくため、上高砂自治会より推薦された「釜無川右岸 上高砂堤防松並木」を市景観重要樹木として指定しました。現在、市と地域の方々が協働で松並木の維持保全を行っています。
上高砂堤防松並木周辺からは、北に八ヶ岳、西に南アルプス、南には富士山を眺めることができ、四季折々の美しい景観が楽しめます。景観重要樹木周辺に点在する水害から命を守るために祈りを捧げる神仏、河川敷からの眺望ポイント、歴史散歩コース等が書かれた「上高砂堤防松並木 案内図 (PDF 1.93MB) 」も設置しています。
景観や歴史にふれる散策をぜひお楽しみください。
松くい虫(マツノザイセンチュウ)の被害について
平成26年の指定から現在まで、松並木の多くが松くい虫による松枯れ被害を受け伐木されてきました。
松くい虫被害は、「マツノマダラカミキリ」というカミキリムシに寄生する「マツノザイセンチュウ」が、カミキリの噛んだ噛み傷から松の樹体内に入ることで通道被害(水を吸い上げる能力阻害)を起こし枯れる仕組みになっています。 マツノザイセンチュウにより弱った松に、カミキリが卵を産み、成長の過程でセンチュウを寄生させ、その状態で羽化脱出することで被害がほかの松に広がります。
南アルプス市でも、消毒や薬剤注入などの予防対策を行っていますが、それでも被害に遭ってしまった松は、早期に適切な処分をする必要があります。市でも定期的な現地観察を行っていますが、市民の皆様も被害の早期発見のため、異常を発見した際には市役所までご連絡をお願いします。
被害を受けた松の木
マツノザイセンチュウによる被害を受けると、短期間で一気に枯れが広がります。