人の健康をチェックするために、体重測定や血液検査等による「健康診断」を行うように、市の財政が健全であるかをチェックするために、健全化判断比率や資金不足比率という「ものさし(指標)」を用いた「財政診断」を行います。
ものさし(指標)で測った数値は、毎年、監査委員の審査を受けた後に、議会への報告や市民の皆様への公表を行い、市の財政状況を確認していただきます。
《根拠法令》地方公共団体の財政の健全化に関する法律
財政状況を診断するための指標とは
市の財政状況を診断するための指標には、次のものがあります。
健全化判断比率 | 実質赤字比率 | 一般会計の実質赤字額が市税等の収入(標準財政規模)に占める割合により、財政運営の悪化の度合いを示します。 |
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連結実質赤字比率 | 国民健康保険特別会計や企業会計等の特別会計を含めた実質赤字額が標準財政規模に占める割合により、市全体の財政運営の悪化の度合いを示します。 | |
実質公債費比率 | 借入金の返済額やこれに準じる負担額が標準財政規模を基本とした額に占める割合により、資金繰りの悪化の度合いを示します。 | |
将来負担比率 | 市が抱えている将来支払う可能性のある負債が標準財政規模を基本とした額に占める割合により、今後の財政運営の悪化の度合いを示します。 | |
資金不足比率 | 公営企業の資金不足額が事業規模(料金収入等)に占める割合により、経営状況の悪化の度合いを示します。 |
財政運営や資金繰りの危険ゾーンを示す値
1.早期健全化基準
健全化判断比率の指標内には、市の財政が危険状態(イエローカード:「要注意」)であることを示す「早期健全化基準値」があり、算定した数値が基準値を超えると、財政が悪化した原因の分析を行い、議会の議決を経て、財政健全化計画の策定等による財政の健全化を進めることになります。
2.財政再生基準
健全化判断比率の指標内には、市の財政が破たん状態(レッドカード:「倒産」)であることを示す「財政再生基準値」があり、算定した数値が基準値を超えると、財政破たんとなった原因の分析を行い、議会の議決を経て、財政再生計画の策定等による財政の再生を進めることになります。
財政再生への道のりは険しく、国の管理により財政運営を行うことになり、行政サービスや市民負担等の特別な見直しを行うことになります。
3.経営健全化基準
資金不足比率の指標内には、公営企業の経営が危険状態であることを示す「経営健全化基準値」があり、算定した数値が基準値を超えると、経営が悪化した原因の分析を行い、議会の議決を経て、経営健全化計画の策定等による経営の健全化を進めることになります。
南アルプス市の診断結果は?
令和5年度決算においては、すべての比率について財政健全化法の基準を下回っており、良好な状況にあります。
しかし、この法律は、健全財政を確保するための1つのツール(手段)にすぎません。自治体の財政状況は様々な要因により日々変化していきます。
今後も、あらゆる方法、分析により健全財政の推進に努めていく必要があります。
令和元年度 算定数値 |
令和2年度 算定数値 |
令和3年度 算定数値 |
令和4年度 算定数値 |
令和5年度 算定数値 |
早期健全化基準 経営健全化基準 |
財政再生基準 |
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実質赤字比率 |
- | - | - | - | - | 12.43% | 20.00% |
連結実質赤字比率 |
- | - | - | - | - | 17.43% | 30.00% |
実質公債費比率 |
4.3% | 3.7% | 3.7% | 3.8% | 4.6% | 25.0% | 35.0% |
将来負担比率 |
- | - | - | - | - | 350.0% | - |
資金不足比率 |
- | - | - | - | - | 20.0% | - |
※実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率及び資金不足比率は、赤字や資金不足がないため「-」にて示します。
実質赤字比率の状況
令和5年度は黒字決算のため、実質赤字比率は表示されませんが、黒字の比率は8.95%となり、前年度比で0.78ポイント減少しています。
分母である標準財政規模が、普通交付税の増加により前年度比で約3億1千万円増加したのに対し、分子である実質収支額が約1億3千万円減少しています。
連結実質赤字比率の状況
令和5年度はすべての会計において黒字決算のため、連結実質赤字比率は表示されませんが、黒字の比率は22.60%となり、前年度比で0.49ポイント減少しています。
実質収支額・資金剰余額は、後期高齢者医療特別会計・水道事業特別会計・下水道事業特別会計において増加した一方、一般会計・国民健康保険特別会計・介護保険特別会計等において減少し、連結実質収支額は前年度比で約2千8百万円減少しています。
実質公債費比率の状況
令和5年度の実質公債費比率(3ヵ年平均)は、前年度比で0.8ポイント増加し、単年度においても0.9ポイント増加しています。
分子である実質公債費が約1億7千8百万円増加していますが、これは一般会計における市債の元利償還金(繰上償還を除く)が約3千万円減少した一方で、元利償還金から差し引く公債費に係る普通交付税基準財政需要額への算入額が前年度比で約1億9千6百万円減少したことによるものです。
将来負担比率の状況
令和5年度の将来負担比率は、将来負担額から充当可能基金、特定財源見込額及び基準財政需要額算入見込額を減算した結果、分子となる金額がマイナス数値となったため比率がありません。
分子の金額については、一般会計における市債の現在高が、地方債の発行額減少の影響により前年度から約18憶3千万円減少したことを主因として、将来負担額が約17憶5千万円減少するとともに、将来負担額から減算される充当可能基金が約7憶2千万円増加したことにより、平成27年度から引き続きマイナス数値となっています。
資金不足比率の状況
令和5年度の資金不足比率は、すべての公営企業会計において資金剰余額がある状態であったため、比率の表示はありません。
会 計 名 | 令和5年度資金不足比率 | 経営健全化基準 | 備考 |
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水道事業会計 | - | 20.0% | 法適用企業 |
下水道事業会計 | - | 20.0% | 〃 |
芦安農業集落排水事業特別会計 | - | 20.0% | 法非適用企業 |
温泉給湯事業特別会計 | - | 20.0% | 〃 |
山梨県北岳山荘管理事業特別会計 | - | 20.0% | 〃 |
土地取得造成事業特別会計 | - | 20.0% | 〃 |