忘れられていた歴史資源を再び表舞台に出し、ふるさとを誇る心を醸成する
この事業は、市内のありとあらゆる歴史資源、また歴史資源に集う人々をつないで市全体をミュージアムと見立てたものです。
地域には、忘れられていたり、たいしたことないだろうとその価値に気づかれずにきた沢山の歴史資源が潜んでいます。この資源をみなさんとともに再発見し、正しい価値付けを行い、みなさんが自ら発信することで、ふるさとに誇りをもち、より魅力ある地域を築こうというものです。
つまり「掘り起こし-育み-伝える」プロジェクトであり、「ふるさと○○博物館」とは出来上がった「モノ」を言うのではなくて、その過程そのものを指す事業なのです。
「掘り起こす」「育む」「伝える」ステップ
「掘り起こす」
地域に潜む歴史資源を掘り起こす。再発見する。
「育む」
共感し、仲間と深堀りする。資源を適切に維持し、手入れする。
「伝える」
きちんと蓄積した上で地域住民みずからが語り継ぎ、発信する。
3つを正しい価値づけにすると、
- 地域らしさを語る歴史資源 UP
防災や産業へも活用できるまちづくりの基盤になる。 - ふるさとを誇りにに思う「心」・「人」 UP
地域力を高める。
博物館ってハコモノ?→まち全体が博物館
まち全体が博物館ということ
博物館と言っても「ハコモノ」ではなく、まちを丸ごとを博物館として見立てた取り組みで、一般的に「フィールドミュージアム」と呼ばれます。
まち全体が博物館ということは、博物館でいう展示室にあたるのが、市内の各地域や場所、テーマであり、展示資料にあたるのが各地にある文化財や歴史資源といえます。そして展示解説員さんにあたるのがガイドさんといったところでしょうか。
さらに、本市の取り組みはこれらを整備することだけが目的ではなく、そこへ至る経緯を重要視しているのが特徴と言えます。
○○って?
「○○」は「まるまる」と読み、地域に暮らす「その人なりの想いを込めたふるさとを作っていただきたい」として、○○にはその人なりの言葉を入れていただきたい、という気持ちを込めて名称が決まりました。
ふるさと○○博物館~掘り起こし・育み・伝えるプログラム~
歴史資源を掘り起こし・育み・伝えるステップ
堀り起こし
- 資源の掘り起こし
- 再発見
- 正しい価値づけ
- 情報の蓄積
- 資源の保護
育み
- 資源を磨く
- 適切な維持管理
- 地域資源勉強会
- 解かりやすく見せる
伝える
- 魅力の発信
- 発信
- 展示・公開
- 活用
↓
- 基本方針
- 「悉皆調査」(基礎的継続な調査)
- 既調査データの整理・保管・再評価
- 現物資料の適切な整理・管理・活用
- 資源の情報を集約し、公開する→「文化財Mなび」の補強
- 住民・語り部の記憶を記録する→高齢者の聞き取り調査
- 語り部の動画・データを集約しわかりやすく発信→「デジタルアーカイブ」の構築
- 住民と地域を歩き、資源を再発見する→「フィールドワーク」の実施
- 訪れるエリアを整備する→エリアの選定・整備
↓
語り部
- 南アルプス市らしさを語る地域資源
- ふるさとを誇りに思う地域住民
↓
効果
- ふるさと教育・観光・産業・防災など多方面へ活用できる南アルプス市オリジナルの基礎データとなる。
- 域の誇り、コミュニティの再構築、地域力、地域の魅力となる。
まずは何があるのか?「ふつう」のものが実は大切
まずはどんな歴史資源があるのか年毎に地区を割り当て、集中して調べ、地区のみなさんと共有します。
ワークショップやフィールドワークとともに、文化財課では、昨今急激に失われている下記の4つの分野に絞って悉皆調査(しっかいちょうさ)注)を実施します。
「建造物」・「古文書」・「民俗」・「口承」
建物の建替えに伴い、古い道具類や書類、風習までもが失われつつあります。「口承」も「民俗」の一部ですが、「伝承」や「記憶」と言い換えても良いものです。みなさんの思い出話なども記録していく予定です。
- 平成29年度は芦安地区と八田地区で実施しますので、調査の際にはご協力をお願いいたします。別途ご案内いたします。
注)悉皆とは「ことごとくすべて」と言う意味で、歴史資源の有無と状態を全て把握する ための調査です。