建築士と設計・工事監理の必要性について
建築士法では、建築物の安全性などの質の確保を図るために、原則として建築士が設計・工事監理を行わなければならないこととなっています。
建築士には、一級建築士、二級建築士及び木造建築士の3種類の資格があり、建築物の規模・用途・構造に応じて、それぞれ設計・工事監理を行うことができる建築物が定められています。
建築基準法においても、建築士法に違反して設計された建築物についての確認申請の受理や工事の施工を禁止しています。
一級建築士が設計・工事監理を行わなければならない建築物
(例)
- 高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超えるもの
- 鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積が300平方メートルを超えるもの
一級・二級建築士が設計・工事監理を行わなければならない建築物
(例)
- 鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積30平方メートルを超え、300平方メートル以内のもの
一級・二級・木造建築士が設計・工事監理を行わなければならない建築物
(例)
- 2階建てまでの木造建築物で、延べ面積100平方メートルを超え、300平方メートル以内のもの
設計
建築士法で「設計」とは、設計図書を作成することとされています。
設計図書とは、建築工事実施のために必要な図面と仕様書のことです。この設計図書が適切に作成されていなければ、その設計図書に基づいて行われる工事監理業務に支障が生じることとなります。
安全で安心な建築物を建てるためには、建築士に設計を依頼し、適切な設計図書を作成してもらうことが必要といえます。
工事監理
同じく「工事監理」とは、建築主の立場に立って工事を設計図書と照合し、工事が図面や仕様書のとおりに実施されているかどうかを確認することです。
この工事監理は、建築物の安全性を確保するためには確実に実施されなければなりません。
そこで、建築基準法では、工事監理者を定めるよう規定されています。
中間検査や完了検査の際には、申請書の中に工事監理の状況を報告を記載しなければなりません。したがって、建築士に工事監理を依頼し、その内容を報告してもらう必要があります。
工事監理の標準的な業務内容
- 設計意図を施工者に正確に伝えるための業務
- 施工図等を設計図書に照らして検討、承諾する業務
- 工事が設計図書通りであることの確認をする業務
- 工事監理報告書・関係図書の建築主への提出