自然と文化が調和した幸せ創造都市 南アルプス

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移住者インタビュー

移住定住インタビュー

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ゆっくりとした時間のなか、
時に立ち止まりながら、
子育ても、地域での暮らしも、
おおらかに楽しむ

ゆっくりとした時間のなか、時に立ち止まりながら、 子育ても、地域での暮らしも、おおらかに楽しむ

神戸から、甲斐市でのお試し生活を経て、南アルプス市平岡に移住した福山さんご一家。
南アルプス市の空き家バンクで見つけた古民家に、自分達の手でリノベーションを重ねながら、おおらかな気持ちで子育てと日々の暮らしを楽しんでいます。

水がきれいで、子育てがしやすい場所を求めて

福山風花さん

 

第一子を授かったことが、移住の直接のきっかけになったという福山さんご夫妻。
「私は当時公立小学校の教員をしていて3年間育児休暇を取得できたので、その間、水がきれいで、自然がいっぱいあって、子育てがしやすい場所で暮らせたら楽しいんじゃないかなって」。風花さんの思いつきに、すぐさま同意したという武さん。子どもの頃に遊びに行き清らかで冷たい水に感動したという風花さんの思い出を辿って、まずは長野から住まい探しを始めることに。月一回のペースで通い、富士見から北杜、そして韮崎へと、山梨にも足を延ばすようになります。

福山夫妻-01

「そんななか、私の母校の系列校が南アルプス市にあり、中学時代の担任の先生が校長先生をされていると知りました。訪ねると、いろんな場所や人を紹介してくださり、地域に関する知識が増え、人間関係が広がりました。この辺りに住んでみたい気持ちが高まっていた頃、恩師を介してご紹介いただいたのが、甲斐市の古民家でした」と風花さん。長きにわたって大切に住み継がれてきた古民家で暮らすことにも魅かれ、長女の日和ちゃんが1歳になる直前にお引っ越し。新しい暮らしが始まりました。

期間限定の“お試し”が、いつの間にか移住へ

福山武さん

 

「正直、お試し感覚で始めた古民家での暮らしでしたが、思った以上に住みやすく快適で、子育てもしやすかったんですね。息子はこの甲斐市の古民家で生まれ、縁側でお昼寝をし、畳の上で思いっきりハイハイをして、のびのびと乳幼児期を過ごしました。本当に贅沢な子育てだったと思います」と風花さん。「それで、古民家いいな、イケるなと思い、改めて家探しを始めました。利用していたのは、空き家バンク。これはと思う物件があると現地に見学に行くという感じで、いろんな家を見て回りました。ただ、古民家にこだわっていたわけではなくて、ログハウスも、普通の中古物件も検討しましたね」。武さんが言葉をつなぎます。

そうして1年ほどたった頃、南アルプス市の空き家バンクで見つけたのが今の家でした。

「ここは、建物を処分して更地にし、新築を建てて利用してくださいと言う物件だったので、破格の値段で売りに出されていました。実際、建物の内外に残置物が山積みで、一見廃屋のようでしたが、内へ入ると、構造はしっかりしていたし、床も沈んでおらず、水回りも改築されていて比較的新しい。少し手を入れれば十分に住めると思いましたし、山積みの残置物も、古物商の免許を持っている僕にとっては宝の山に見えました」と武さん。

風花さんも、「私は大工仕事とか、工夫して快適に住めるようにすることとかがもともと好きで、この家を見たときも、ここなら自分たちで何とかできるかもしれないと思ったんですよね。それに、私は南アルプス市って果樹のまちというイメージがあったんですが、ここへ来たら、棚田があって、豊かな田園風景が広がっていて、いい所だなぁって。ここは南アルプス市でも山際に当たるんですが、とても穏やかで、近くには沢もあって、こんな場所で子育てができたら楽しいだろうなと思いました」と、当時の思いを語ります。

福山夫妻-02

コロナ渦のなか、
友人の手も借りながらD.I.Yで家づくり

こうして平岡地区の古民家を手に入れたお二人。
「こっちへ来てから仲良くなった友人が10人ほどいるので、彼らに日常的に手伝ってもらいながら、残置物を仕分けして片づけをし、壁を抜き、タイルを張り、土間を作って、住まいを整えていきました。コロナ渦で外出がままならない状況だったこともあり、休みの度にここへ集まり作業をするという日々が続きました。僕も含めみんな素人で、すべてが手探りでしたが、その時間も楽しかった。今こうして暮らせているのも友人たちのおかげなので、彼らにはどんなに感謝してもしきれません」と感慨深げな武さん。

風花さんも、「子どもたちの面倒を見てくれていたのも友人です。おかげで私も、思いっきりD.I.Yを楽しませてもらいました。結局プロの手を借りたのは、最後に土間を作ったときにコンクリートを入れて、ボイラーを新しくしたくらい。改築費用をあまりかけることなく、この家に残されていた古い家具や食器、ミシンなど、あるものを活用しながら、日々の暮らしができる状態にすることができました」と、笑顔で話します。

福山家-屋内01
福山家-屋内02
福山家-屋内03

 

おおらかな気持ちで子育て

それから3年。現在も継続的に住まいに手を入れたり、残置物を片付けたりしながら、日々成長する子どもたちとの時間も大切にしているお二人。
「この家では、壁に落書きをしてもOK。近隣を気にして怒る必要がないので、大声で笑っても、走り回っても、ケンカをしても、おおらかな気持ちで見守っていられるのがいいですね。それに、泣きたいときは、泣かせてやれることもこの家のメリット。子どもだって、泣きたいときもあると思うんですよね」と武さん。

家の中には登り棒やハンモックもあり、子どもたちは元気いっぱい、走り回って遊んでいます。
風花さんは、優しい眼差しでその様子を見守りながら
「登り棒は、保育園でうちの娘が一人だけできなかったときに作ってやりました。そうしたら喜んで練習して、すぐに登れるようになったんです。こういうことができるのも楽しいなぁと思いますし、子どもたちと日常的に楽しいことができるのもいいなぁと思っています。例えば、朝とか夕方とかにこの辺りをお散歩するだけで、いろんな発見があって楽しいし、田んぼもすごくいい遊び場。春にはオタマジャクシを捕まえ、秋に稲刈りが済んだら、棚田を上まで登って行きます。武くんが、休日の朝早くに近くの沢に連れて行くのも、我が家の恒例行事です。取ってきた沢蟹は素揚げにしてお昼に食べるのですが、それが楽しく嬉しいようで、子どもたちは大喜び。車に乗って遠出をしなくても楽しいことはたくさんあるし、お金をたくさん使わなくてもこんなに豊かに暮らせるんだなぁと実感しています」。と話します。

福山家-屋内-登り棒
福山家-屋内-ハンモック

やりがいある仕事との出会い

それぞれの仕事にも変化が生まれています。

「僕はこっちへ来るタイミングで野辺山の農業法人に就職して、現場で野菜の栽培と収穫、出荷といった一連の業務を経験した後、現在は、新規事業と採用を担当しています。当初は朝4時に起きて1時間かけて野辺山に通い、1日中畑仕事をした後で、また1時間かけて帰ってくるという毎日で、体力的にも精神的にも厳しさを感じていましたが、現在の部署に移ってからは、リモートでのデスクワークや、北杜市にある自社工場での加工品の生産管理、キッチンカーを出店しての自社商品をPR活動など、幅広い業務に携わるようになりました。新規事業を展開していくプレッシャーや首都圏のマルシェに出店するなど出張はあるものの、以前より余裕が持てるようになり、家族の時間も、やりたいことをやる時間も増えています」と武さん。

一方風花さんは、「私は前職を退職し、しばらく母校にお手伝いに行っていたのですが、子どもたちの保育園入園を機に正社員採用していただき、今春から担任も持たせてもらって小学校の教壇に立っています。教職はやりがいがあり、なにより毎日がとても楽しいです」と晴れやかな表情で話します。

福山家-屋内04
福山さん親子

地域での暮らしを、自分たちらしく楽しむ

今年は、地区の組長を任されることになった武さん。
「地域の先輩の方々から、『全部教えるし、顔つなぎもするから』と言っていただき、言葉通りの手厚いサポートを受けながら、なんとか務めています。こうしたことをお願いされるようになったのも、この地域の一員として認められた証。知り合いが増え、受け入れてもらっていると感じる機会も増えています」。
さらに、最近、頻繁に遊びに来ていた幼馴染みが、家族を連れて南アルプスへ移住してきたそうで、「仲間が増えたことももちろんですが、僕らの暮らしぶりを見て、自分もここでこういう暮らしがしたいと来てくれたことがとても嬉しい」とも話します。

休日ともなれば、地域の人々をはじめ、風花さんの同僚、武さんが猟友会で出会った仲間、古くからの友人、果ては友達の友達まで、本当にいろいろな人が入れ替わり立ち替わり訪ねてきて、まるで公民館のように賑やかな福山家。
「我が家は誰が来てくれても大歓迎!この記事を見て興味を持った方がいらしたら、ぜひ訪ねてください。そうやって、これからもいろんな人に僕らの暮らしを見てもらい、田舎暮らしのリアルを感じてもらって、それが、移住したい、田舎暮らしをしたいと思っている人の背中を押すことにつながったら嬉しいですね」と、満面の笑みで語る武さん。豊かな時間が流れていました。

サワガニ釣りの様子-01
サワガニ釣りの様子-02
サワガニ釣りの様子-03

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