自然の中で
のんびり豊かに
果樹園に囲まれた一軒家にお住まいの平野勝さん、富美子さんご夫妻。
移住のきっかけなど、お伺いしました。
移住のきっかけ「田舎暮らしの予行練習」
以前は千葉県にお住まいだった平野さんご夫妻。
東京駅から電車で30分という立地は千葉市民というより、千葉都民という感じだったそうです。
会社員時代の勝さんは、海外勤務も多く、これまで30カ国以上に渡航するなど、多忙な日々を送られてきました。
退職後は田舎でのんびり暮らしたいと思っていました。
ネット検索など情報収集する中で南アルプスクラインガルテンの入居募集をみつけたんです。
私の趣味は、山登りなのですが、ちょうど入居募集を見つけた頃、娘と南アルプスの仙丈ヶ岳へ登山する機会がありました。その帰りに完成前の施設を見学したんです。
実をいうと、それまで北アルプス方面にはよく行っていたんですが、山梨県は北アルプスに行くための通過点という感じで、印象が薄かった。
しかし実際来てみたら、緑も豊かだし富士山も見える(笑)。
ここで田舎暮らしの予行練習しようと思いましたね。すぐに入居募集に応募し、運よく当選しました。
入居後、勝さんは南アルプス市、富美子さんはお母様の介護もあって千葉県で暮らし、月に何度か行き来していたそうです。
「主人は単身赴任していた期間が長かったので、家事でも何でもできるんです(笑)」と富美子さん。
もともと畑仕事が好きで、入居前から市民農園を借りて野菜作りをしていました。
家事も慣れていましたから、不自由は感じなかったですね。
同時期に入居した仲間にも恵まれたこともあり、最終的に5年間、クラインガルテンに滞在しました。
こちらに娘家族が訪れた時には、簡易宿泊施設(ラウベ)の中は見渡す限り人だらけ。台所まで布団を敷いて寝てましたね。
そんな思い出の詰まったクラインガルテンでの生活も契約期限の5年目を迎えます。
物件探し 「家からの眺望が決め手に」
平野さん宅。生け垣はバラで。開花時期が楽しみです。
契約期間が切れる5年目、これからどうしようかと考えた時にやはり南アルプス市に住みたいと思い、物件を探し始めました。条件は家のそばで畑仕事ができて富士山が見れる場所。最初は貸家も含めて探していたんですが、なかなか条件に合う物件がなく、終の棲家になるならと現在の場所に家を建てました。 決め手はやはり立地ですね。周りは果樹園でさえぎる建物がないので、家から富士山や四方の山々が望めます。果樹園では、春にはサクランボ、桃、スモモの花が順々に咲いていくんですよ。四季の移ろいがすごく感じられるんです。
娘さんご家族も一緒に設計を考えたという平野さん宅。南側に大きくとられた窓から室内に太陽の光が注ぎ、富士山が望めます。
左:大きくとられた窓から見える富士山
中央:畑や庭で栽培したバラや綿花、小麦などをドライフラワーにして、楽しんでいる
右:富美子さんの趣味は陶器集め。海外赴任中の勝さんを訪ねた時などに集めたお皿を飾っている
暮らしをはじめる 「自然の中で新しい発見」
平野さんの畑からは富士山をはじめ、駒ケ岳や南アルプスなど四方の山々が望める
―南アルプス市に移住して2年。どんな生活を送っていますか?
畑仕事や庭の手入れをしたりしていますね。
何を育てるか1年間のスケジュールがあるんですよ。
どうすればうまく栽培できるのか、土から改良したり、いろいろ研究中です。
栽培した野菜は娘家族にも送っているんです。
新鮮な野菜はみんな喜んでくれますね。
拝見した畑は研究の成果でしょうか。土も柔らかそう。去年は、この畑で長芋も栽培したそうです。
野菜は40種類くらい作っているかな。
作ったネギは『売り物になるよ』なんて言われるくらいの出来になりました。
イチゴの畑(右写真)では、収穫の時期になると、勝さんは収穫、富美子さんはジャム作りと大忙しだそうです。
―都会から南アルプス市へ。暮らしてみて不便な点はあったのでしょうか?
近くにスーパーやホームセンター、道の駅など商業施設もあるので、買い物に不便を感じたことはないですね。
首都圏にも2時間程度で行くことができるので、移動もそれほど負担になりません。
以前は山登りをするにも事前に計画を立て、何時間もかけて行っていましたが、今は山が近くにありますから、思い立ったらすぐに行くことができます。
―移住される方にとってご近所づきあいに不安を感じる方もいるかと思います。
畑仕事や庭いじりをしていると、作業にきた果樹園の方が声をかけてくれますね。
栽培している果物をいただいたり、私の作った野菜を差し上げたりすることも。
私たちの場合は、ゆるやかなつながりというか、人と人の距離感がちょうどいいと思います。
最後に移住したいと考えている方へアドバイスをお願いします。
移住を考えている場所に最低1年くらいは通ったり、仮住まいを探して暮らすなどトライアル期間は必要だと思いますね。
私たちもクラインガルテンでの5年間があったからこそ、移住に不安はありませんでした。
トライアル期間がないまま、移住してしまうと失敗した時の代償が大きいと思うんです。
「ここだったら大丈夫」という経験を持ってから本格的に移住された方がいいと思いますね。