子どもの発達と事故について
事故の内容は年齢によって異なりますが、周囲が気を付けることで防げるものが大部分です。
子どもの発達過程の中で、いつ頃、どんな事故が起こりやすいか知っておくことは事故予防の上で大切です。
特に乳幼児期の子どもは
- 大人より視野が狭いため空間を把握する力が未熟です。
- 手に触れたものは、なんでも口に入れてしまいます。
- 好奇心が強く、大人が想像できない遊びをしたり、道具の使い方をします。
- 前後左右の判断ができず、突然飛び出したりします。
- じっとしていることが苦手で、注意力が不足しています。
0歳から6歳までの子どもに予期せず起こりやすい事故とその予防法・もしものときの対処方法については下記リンクのこども家庭庁のホームページから「こどもを事故から守る! 事故防止ハンドブック」をご覧ください。
子どもの心肺蘇生法について
意識がない・呼吸をしていない・心臓が動いていないなど生命の危機があるとき、子どもの命を守る1つの方法として家族が心肺蘇生法を身に着けて救急車が到着するまで心肺蘇生法を行うことが重要です。
<胸骨圧迫(心臓マッサージ)>
意識がなく、呼吸が停止している場合は直ちに胸骨圧迫による心肺蘇生を開始します。
幼児でも乳児でも胸の厚さが3分の1くらい沈む強さで圧迫します。(1分間に100~120回くらいのスピード)
- 幼児の場合:胸骨の下半分を、手のひらの根元で押します。
- 乳児の場合:左右の乳頭を結んだ線の中央の少し足側を指2本で押します。
<人工呼吸>
仰向けにして頭を後ろにそらし、あごの先を持ち上げ気道を確保します。
- 幼児の場合:鼻をつまみ、口と口をくっつけて息を吹き込みます。
- 乳児の場合:口と鼻を覆い、胸が軽く上がる程度まで息を吹き込みます。
山梨県では子どもの心肺蘇生法の動画を配信しています。ご家庭での緊急時の準備として、ぜひご活用ください。
転倒・転落
どんな時におきる?
寝返りによるベビーベッド等からの転落、階段やベランダ・窓からの転落、子ども用ハイチェアからの転落、自転車からの転落
どうやって予防する?
- ベビーベッドの柵は必ず上げる
- 物につまづいたり滑って転んだりしないように床は整理整頓する
- 階段には乳幼児用の柵を取り付ける
- ベッドや椅子、ソファーの上で遊ばせない
- 踏み台になりそうなものをベランダや窓の近くに置かない
- 自転車ではヘルメットを着用する
- 子どもを乗せたまま自転車から離れない
家庭でできる応急処置
1、頭を打撲した場合
- 傷口から出血しているときは、傷口を閉じるようにガーゼで圧迫し、安静にして様子を見ましょう。
- 意識がない、出血がひどい、繰り返し嘔吐があるときには救急車を呼ぶか、至急病院を受診しましょう。
- 顔色が悪く元気がないときは、小児科や脳外科を受診しましょう。意識があって元気でも遅れて症状が出ることがあります。1~2日は安静にして様子を見ましょう。
- こぶができた程度なら、安静にして冷たいタオルなどで冷やします。
2、身体の打撲の場合
- 腕や足などを打った時は、冷たいタオルなどで冷やします。
- おなかを強く打った時は、衣類を緩めて、安静にし病院を受診しましょう。
3、腕や足の骨折・脱臼の可能性がある場合
- 添え木などで固定し、動かさないようにして病院を受診しましょう。
誤飲
どんなものを誤飲することが多い?
日用品:たばこ、小銭、おもちゃ、ボタン、電池など
薬品類:洗剤、殺虫剤、化粧品など
食品類:ナッツ類、豆類、アメなど
どうやって予防する?
- 薬や化粧品は引き出しや戸棚に入れる
- タバコや灰皿を置きっぱなしにしない
- 誤飲しそうな小さなもの、洗剤などは子どもの手の届かないところに置く
- ボタン電池やコイン、小銭などを放置しない
誤飲してしまった場合は以下のことを確認しましょう。
- 何を飲んだのか
- いつ飲んだのか
- どれだけの量を飲んだのか
- 顔色が悪いなどいつもと違うところはないか
- けいれんや嘔吐はないか
- 意識がはっきりしているか
- 誤飲したものの容器や説明書などを確認する
家庭でできる応急処置
飲んでしまったものによって、緊急性の高いものや吐かせてはいけないものがあります。
応急処置ができないとき、不安に感じるときは医療機関に電話をして速やかに受診をしましょう。
また、下記の2か所で情報提供と相談が行われています。
応急処置に関する問い合わせ
- つくば中毒110番:029-852-9999(365日、9時~21時)
- 大阪中毒110番:072-727-2499(365日、24時間対応)
誤飲したもの | 水を飲ませる | 牛乳を飲ませる | 吐かせる | |
タバコ | 葉・吸い殻 | × | × | 〇 |
タバコを浸した溶液 | 〇 | 〇 | 〇 | |
強酸または強アルカリ(洗浄剤、漂白剤など) | 〇 | 〇 | ×至急病院へ | |
医薬品 | 〇 | 〇 | 〇 | |
石油製品(灯油、マニキュア、除光液など) | × | × | ×至急病院へ | |
芳香剤、消臭剤 | 〇 | 〇 | 〇 | |
防虫剤(ナフタリンなど) | 〇 | × | 〇 | |
香水、ヘアトニック | 〇 | 〇 | 〇 | |
ボタン電池 | × | × | ×至急病院へ |
様子を見ても大丈夫。通常の診療時間に受診をするもの(少量の誤飲ではほとんど無害なもの)
酒、冷蔵庫用脱臭剤、保冷剤、マッチ、ろうそく、インク、クレヨン、絵の具、鉛筆、消しゴム、墨汁、粘土
のり、石鹸、口紅、化粧水、乳液、香水、ファンデーション、ベビーオイル、ベビーパウダー、歯磨き粉、シャンプー、ヘアトニック、シリカゲル、線香、蚊取りマット、花火、靴墨
窒息
こども家庭庁YouTube公式チャンネル 「~保育や子育てに携わるみなさまへ~ 食べ物による窒息・誤嚥事故に注意!」
特に注意が必要な食べ物は?
ナッツ類、豆類、アメ、こんにゃくゼリー、マシュマロ、団子、餅、ブドウ、ミニトマトなど
※すべての食べ物で窒息は起こります。
どうやって予防する?
- 窒息に注意が必要な食べ物は子どもの手の届かないところに置く。
- 子どもの身体やお口の発達に合わせて離乳食や幼児食をすすめる。
→豆やナッツ類は5歳以下の子どもには与えない。
→ミニトマトやブドウなど球状の食品は4等分する、調理をして柔らかくする。
→食べているときは姿勢を良くして、食べることに集中させましょう。
→遊びながら、歩きながら、寝ころんだまま食品を食べさせないようにしましょう。
- 食事を終えるときは、口の中に食べ物が残っていないか確認をしましょう。
注意点など詳細は下記リンクの消費者庁のホームページをご覧ください。
家庭でできる応急処置
喉に食べ物が詰まってしまったら・・・すぐに救急車を要請し、詰まった物の除去を試みましょう。
乳児と幼児で除去の方法が異なります。
詳しい方法については下記リンクのこども家庭庁のホームページをご覧ください。
やけど
どうやって予防する?
- テーブルに熱いものを置くときは子どもの手が届かないようにする。
- テーブルクロスを使用しない。
- 炊飯器や電気ポットは手の届かない高さに設置する。
- 抱っこをしてご飯を食べさせる場合は十分注意をする。
- ストーブを使用する場合は柵などを設置する。
- 小さい子どもを台所に入れない、または、柵を設置する。
家庭でできる応急処置
- しっかり冷やす
- 刺激を避けるため容器にためた水で冷やす。水道水やシャワーを直接患部に当てないようにして冷やしましょう
- 服の上から熱湯などがかかった場合は、脱がさずに服の上から冷やしましょう。
- 全身の広い範囲の場合:衣類を脱がさずに冷やして、すぐに受診をしましょう
- 顔や頭の場合:シャワー水や濡れタオルで冷やしましょう。
- 手足の場合:水膨れをつぶさないよう水道水で冷やしましょう。
- 低温やけどの場合:範囲が小さくても皮膚の深くまでやけどが進行していることがあります。冷やしながらすぐに受診をしましょう。
※注意すること※
- 市販の冷却シートはやけどの手当てには使えません。
- 水膨れを破ると、菌が入り化膿することがあります。破らないようガーゼや包帯でくるんでおきましょう。
様子を見て通常の診療時間内に受診をする場合
- 赤いだけで水膨れができていない
- 範囲が狭いやけど
小児の夜間・休日の救急医について
もしも家庭内で事故が起こった場合は、まずは気持ちを落ち着かせて行動しましょう。
普段から準備をしたり、事故の対応を確認することも大切です。
・緊急時の連絡先(主治医、夜間休日診療)などは、わかるようにメモをしておきましょう。
小児救急電話相談:♯8000
- 受診の有無や対応について電話相談ができます。相談時間は下記の小児初期救急医療センターと同じです。
小児初期救急医療センター:055-226-3399
- 予約は不要ですが、あらかじめ電話で受診の状況を確認して下さい。
- 頭部打撲、やけど、けが、骨折など外科的疾患については対応できません。
診療時間
平日夜間/午後7時から翌日午前7時
土曜日/午後3時から翌日午前7時
休日/午前9時から翌日7時
住所
山梨県甲府市幸町14-6(甲府市地域医療センター内)
- 母子健康手帳、保険証、受給者証、診察券、お薬手帳などはひとまとめにし、いつでも持ち出せるようにしておきましょう。
- 山梨県救急医療情報センター(055-224-4199)では、医療機関に関する電話でのお問い合わせが可能です。(24時間)
- 救急箱を準備し、定期的に補充しましょう。
※救急箱に関する注意※
- 使用期限をチェックする日を決める
- 子どもの手が届かないところに保管する
- 決まったところに置く(冷暗所が望ましい)
- 薬は必ず添付文書をよく読んでから使用しましょう