税額控除とは
税額控除は、所得控除が所得金額から一定の金額を控除するものに対し、税率を乗じて算出した税額から一定の金額を控除するものです。
1.調整控除
調整控除は、所得税から個人住民税へ税源移譲するにあたって、個人住民税の税率を定率化したことによる税負担の増加を調整するために設けられたものです。
控除額:
- 個人住民税の合計課税所得金額が2,000,000円以下の場合
次のいずれか少ない金額の5パーセント- 5万円+人的控除額(基礎控除を除く)の差の合計額
- 合計課税所得金額
- 個人住民税の合計課税所得金額が2,000,000円超の場合
次のいずれか多い金額の5パーセント- 〔5万円+人的控除額(基礎控除を除く)の差の合計額〕-〔合計課税所得金額-2,000,000〕
- 5万円
※令和3年度分から、前年の合計所得金額2,500万円を超える場合は、調整控除が適用されないこととなりました。
※上記の計算式は令和3年度(令和2年中所得)分以後の適用内容になります。
区分 | 所得税(注1) | 市・県民税(注1) | 人的控除の差(注2) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
障害者控除 (1人につき) |
特別障害 | 40万円 | 30万円 | 10万円 | ||
同居特別障害 | 75万円 | 53万円 | 22万円 | |||
普通障害 | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |||
ひとり親控除 寡婦控除 |
ひとり親 | 母 | 35万円 | 30万円 | 5万円 | |
父(注3) | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |||
寡婦 | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |||
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |||
配偶者控除(注4) | 一般 | 38万円 | 33万円 | 5万円 | ||
老人 | 48万円 | 38万円 | 10万円 | |||
配偶者特別控除(注4) |
配偶者の 合計所得金額(注5) |
48万円超50万円未満 | 38万円 | 33万円 | 5万円 | |
50万円以上55万円未満 | 36万円 | 33万円 | 3万円 | |||
扶養控除 (1人につき) |
一般扶養 | 38万円 | 33万円 | 5万円 | ||
特定扶養 | 63万円 | 45万円 | 18万円 | |||
老人扶養 | 48万円 | 38万円 | 10万円 | |||
同居老親 | 58万円 | 45万円 | 13万円 | |||
基礎控除(注6) | 48万円 | 43万円 | 5万円 |
- (注1)所得税および市・県民税欄の金額は各税目で適用される所得控除の額ではありません。人的控除の差を計算する際の基準額になります。
- (注2)調整控除を算出する際に使用する金額になります。
- (注3)旧寡夫、未婚のひとり親のうち父である場合については人的控除額の差額が1万円となります。
- (注4)配偶者控除及び配偶者特別控除については「本人の合計所得金額900万円以下」の場合の表記になります。
- (注5)配偶者の合計所得が55万円以上の場合は人的控除額の差額はありません。
- (注6)基礎控除については「本人の合計所得金額」によって控除額が段階的に逓減となりますが、人的控除額の差額は一律5万円となります。なお「本人の合計所得金額2,500万円超」の場合は調整控除の適用がありません。
2.寄附金控除
寄附金税額控除の対象は、都道府県・市区町村に対する寄附金、住所地の共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金、所得税の寄附金控除の対象となっている学校法人や社会福祉法人などのうち都道府県・市区町村が条例で定める寄附金となります。
控除額:
(次のいずれか低い金額-2,000円)×10パーセント
- 寄附金の合計金額
- 年間の総所得金額等の30パーセント
詳細については「寄附金税額控除について」でご確認ください。
3.配当控除
配当控除は、配当所得について、法人段階で法人税が課税され、更に個人段階でも所得税と個人住民税が課税されるため、その二重課税を調整するために設けられたものです。
配当控除の適用がある配当所得は、法人から受ける利益の配当、出資金に係る余剰金の分配、証券投資信託の収益の分配等に係るものであり、この配当所得の金額に下表の区分に応じた控除率を乗じて計算した金額を控除することができます。
課税所得金額10,000,000円以下
種類 | 市民税 | 県民税 | |
---|---|---|---|
利益の配当等 | 1.6パーセント | 1.2パーセント | |
証券投資信託等 | 外貨建等証券 投資信託以外 |
0.8パーセント | 0.6パーセント |
外貨建等証券 投資信託 |
0.4パーセント | 0.3パーセント |
課税所得金額10,000,000円超
種類 | 市民税 | 県民税 | |
---|---|---|---|
利益の配当等 | 0.8パーセント | 0.6パーセント | |
証券投資信託等 | 外貨建等証券 投資信託以外 |
0.4パーセント | 0.3パーセント |
外貨建等証券 投資信託 |
0.2パーセント | 0.15パーセント |
4.住宅ローン控除
平成21年度税制改正により、平成21年より入居し所得税の住宅ローン減税制度を受けたかたで、所得税において控除しきれなかった金額がある場合は、翌年度の個人市・県民税において住宅ローン控除が適用できます。
詳細については「個人市・県民税からの住宅ローン控除」でご確認ください。
5.配当割額又は株式等譲渡所得割額の控除
「上場株式等の配当」や「特定口座で取り引きされた上場株式等の譲渡所得(源泉徴収することを選択したもの)」には、あらかじめ5パーセントの住民税(配当割、株式等譲渡割額)が徴収されています。そのため、この2つの所得は申告不要とされていますが、確定申告することができます。
申告した場合は、その所得を総所得金額に含めて住民税を算定し、この場合すでに徴収されている配当割額と株式等譲渡所得割額を控除し、控除しきれない分は還付されます。
ただし、申告した場合は、住民税の非課税基準の所得、配偶者控除、扶養控除の所得基準、国民健康保険税、介護保険料の算定の所得に入ります。
控除額:
配当割額+株式等譲渡所得割額(市民税5分の3、県民税5分の2)
6.税額調整額
所得割の非課税基準を若干上回る所得を有する者の税引き後の所得金額が、非課税基準の金額を下回ることのないよう税額を減ずる調整措置です。
調整額:
- 扶養親族がいない場合
450,000円-(総所得金額等-算出税額)=税額調整額 - 扶養親族がいる場合
(350,000円×〔扶養親族及び同一生計配偶者の数+1〕)+100,000+320,000円-(総所得金額等-算出税額)=税額調整額
※上記の計算式は令和3年度(令和2年中所得)分以後の適用内容になります。