気道異物による窒息
例えば「食事中に食べ物が気道に詰まる」等、息ができなくなった状態です。いったん起こると死に至ることも少なくありません。大切なことは窒息を予防することです。高齢者、乳児などでは食べ物を細かく刻んで食べさせるように心がけましょう。
万が一気道に物が詰まってしまった場合は次に述べる対応を行ってください。
窒息の発見
適切な対処の第一歩は、まず窒息に気づくことです。「苦しそう」、「顔色が悪い」、「声が出せない」、「息ができない」ようであれば、傷病者に問い掛けてみてください。
「のどに何か詰まりましたか?」と尋ねます。
声が出せず、うなずくようであれば直ちに気道異物への対処を行わなければなりません。
窒息のサイン
気道閉塞のために呼吸が出来ないことを周りに伝える方法として、親指と人差し指で、のどをつかむ仕草があります。これを世界共通の「窒息のサイン」と呼んでいます。
注意点
傷病者が力強い咳や会話ができるならば、無理に処置を行う必要はありません。力強い咳は最も効果的な異物除去方法です。その時点では注意深く見守り、持続する場合は119番通報を行ってください。また、咳が弱くなったり、咳ができなくなった場合にも、119番通報するとともに窒息と判断して迅速な対応が必要になります。
119番通報と異物除去
反応がある場合
窒息と判断したならば、直ちに119番通報を依頼し、救助者は直ちに腹部突き上げ法と背部叩打法を行います。救助者が一人だけの場合は、119番通報する前に腹部突き上げ法と背部叩打法を試みてください。
- 腹部突き上げ法
1.救助者は傷病者の後ろに回り、腰付近に手を回します。一方の手でへその位置を確認する。もう一方の手で握りこぶしを作って親指側を傷病者のへその上方(指1本分)に当てます。
みぞおちより下方で行なってください。
2.へそを確認した手で握りこぶしを握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます。
妊婦(明らかにおなかが大きい場合)および乳児では腹部突き上げ法は行わず、背部叩打法を行います。
- 成人の背部叩打法
立位または座位の傷病者では、後方から手の平(手の付け根に近い部分)で左右の肩甲骨の中間あたりを力強く何度も連続して叩きます。
- 乳児の背部叩打法
片腕に乳児をうつぶせに乗せ、手の平で顔を支えつつ、頭を体よりも低く保ち、もう一方の手の平(手の付け根に近い部分)で背中の真ん中を数回強く叩きます。
反応がなくなった場合
傷病者がぐったりして反応がなくなった場合は、心停止に対する心肺蘇生の手順を開始します。心肺蘇生を行っている途中で異物が見えた場合は、異物を取り除きます。見えない場合にはやみくもに指を入れて探さないでください。また、異物を探すために胸骨圧迫は中断しないようにしてください。