史跡御勅使川旧堤防(将棋頭・石積出)整備基本計画について
史跡「御勅使川旧堤防(将棋頭・石積出)」は、全国で1795件(平成29年12月現在)の国指定史跡があるなか、3件しかない河川堤防のひとつです。暴れ川として全国的にも著名な御勅使川の治水と利水に関わる貴重な歴史遺産です。
本計画は、この史跡を適切に保存し後世に継承していくとともに、史跡の本質的価値を広く公開活用することを目的に、平成30年3月に策定されました。
計画では現状での課題等を整理し、今後の保存、調査・研究、活用を適切に進める基本整備方針を示してあります。
基本方針
1.調査・研究の推進
整備の基盤となる史跡の本質的価値を明らかにするには、考古だけでなく文献や土木工学など多分野との継続した調査・研究が必要です。そのため、学際的な調査・研究を推進し、その結果を積極的に公開していくとともに、整備計画に反映していきます。
2.保存のための整備の推進
史跡の保存および本質的価値の顕在化を第一の目的とした整備を推進します。
3.史跡の特性を活かした積極的な公開・活用の推進
史跡の本質的価値とその保存への理解を深めるため、発掘調査や整備時、整備後等の各段階で積極的に公開し、さまざまな活用の場として、日常的には地域の憩いの場として、身近に感じられる整備を目指します。
4.歴史を活かしたまちづくりの拠点としての整備
南アルプス市の歴史は、様々なかたちで水の制御に苦しみ、これを克服してきた歴史と特徴づけることができます。史跡「御勅使川旧堤防(将棋頭・石積出)」は、まさにその象徴であり、郷土の水の歴史やそれにまつわる文化を活かした「南アルプス市らしい」まちづくりの拠点となりえます。さらに異常気象が続く現代において、防災教育の拠点ともなる。水の歴史を通じた地域間交流やその情報発信の空間として広く活用できるような整備を推進します。
事業計画
計画は平成30年度(2018年)から2032年までの15年間で、保存の前提となる調査を進めながら、’18年から’22年で桝形堤防、’23年から’27年で石積出、’28年から’32年で六科将棋頭を整備することを目指します。
桝形堤防は、現在立ち入り禁止となっていますが、石積みを修復し、安全に配慮した自由な散策ルートを設ける予定です。さらに文化財Mなびや○○博物館ウェブサイトと連携した案内板、展望施設や休憩施設を整備します。整備後は誰もが集える憩いの場として、徳島堰はじめとする利水や治水の歴史を学び体験する場として、南アルプス市独自の観光資源として、近接した御勅使南公園からの散策ルートとして、いつでも活用できるようになります
桝形堤防整備イメージ