南アルプス市では平成17年に策定した「第1次南アルプス市総合計画」の基本政策において「快適で心のかよいあう都市づくり」の中で、「自然と共生する地域づくり」を施策として掲げ推進してきました。
これを受けて平成18年に「南アルプス市地域新エネルギービジョン」を策定し、自然豊かな南アルプス市から生み出されるエネルギーを活用することにより、化石燃料からの脱却や地球温暖化問題に対応した都市づくりを目指していきます。
新エネルギービジョンの概要については、南アルプス市地域新エネルギービジョン概要版(PDF 1.56MB)をダウンロードしていただけます。
人と自然が響き合う新「文化」都市をめざして
- 新エネルギーとは
太陽光や風力をはじめとする「自然エネルギー」、廃棄物などの「リサイクルエネルギー」にクリーンエネルギー自動車や燃料電池のような「エネルギーの新しい利用形態」を含めた環境負荷の少ない地球にやさしいエネルギーです。
南アルプス市のエネルギーの現状
市内のエネルギー需要量は7,145,430ギガジュール(原油換算123,234キロリットル)であり、産業部門が最も多く、次いで運輸部門となっています。
市全体のエネルギー消費量(2004年度)
産業部門(ものをつくる分野)
運輸部門(人やものを運ぶ分野)
民生部門(市民の生活に関わる分野)
市全体で年間約123,234キロリットルの原油を使っています。
市全体のC02排出量(2004年度)
市全体で年間約388,795トンのC02を排出しています。
一人あたりに換算すると
(南アルプス市の人口:72,072人:2005年国勢調査)
市民一人あたり年間約5.4トンのC02を排出しています。
(全国では、9.8トンC02/人)(2004年度環境省)
例:灯油一斗缶(18リットル)を消費すると、44.8キログラムのC02が排出されます。
南アルプス市の新エネルギーの潜在状況
市内に潜在する新エネルギーとしては、太陽光発電や太陽熱利用があります。また、小水力発電やバイオマスに関しても利用可能性の高い新エネルギーと考えられます。
期待可裁量(現実的に利用が想定される量)の合計は、798,353ギガジュール/年であり、約5万5干世帯分の一般家庭の消費エネルギーを賄える量となります。
南アルプス市における新エネルギー
1世帯の年間エネルギー消費量14,400メガジュールで換算すると
約5万5世帯分の新エネルギー量
- メガジュール(MJ)、ギガジュール(GJ)とは?
熱の単位のこと、1メガジュールは239キロカロリー(kcal)。1ギガジュール(GJ)は1,000メガジュール(MJ)。
南アルプス市の新エネルギー期待可裁量
- 太陽光発電
太陽電池パネルに、太陽などの光が当たると電気が発生します。太陽光を直接電気に変換するもので、除々に導入が進んでいます。
(153,605ギガジュール)
- 太陽熱利用
屋根などに設置した太陽熱温水器やソーラーシステムで太陽熱をそのまま給湯等に利用していくもので、普及も進んでいます。
(169,088ギガジュール)
- 風力発電
風車の回転で発電します。風力エネルギーの約40%を電気に変換できる他、小型化も進み、全国で既に900基を超える風車が稼動しています。
(28,321ギガジュール)
- 森林バイオマス
木材などのバイオマス(植物等の生物有機体)を燃料とし、発電、熱利用燃料製造を行う自然循環型のエネルギーです。(7,398ギガジュール)
- 農産バイオマス
稲わらや果物などの農産資源バイオマスを燃料とし、発電、熱利用、燃料製造を行う自然循環型のエネルギーです。(28,033ギガジュール)
- 畜産バイオマス
家畜のふん尿などの畜産資源バイオマスを燃料とし、発電、熱利用、燃料製造を行う自然循環型のエネルギーです。(28,080ギガジュール)
- 廃棄物利用
燃えるごみを焼却する際の余熱、あるいは発電後の排熱は、そのまま周辺地域の冷暖房や温水としての利用が進展しています。(92,572ギガジュール)
- 小水力(注1)
水の位置・運動エネルギーを利用して電気エネルギーに変換します。河川や浄水場など、落差がある所であれば、設置場所を問いません。
(39,475ギガジュール)
- クリーンエネルギー自動車
地域特性に左右されない新エネルギーで、排気ガスが削減されます。ハイブリッドやLPG車など、様々な種類があります。(251,075ギガジュール)
注1 小水力について:新エネルギーの定義に含まれませんが、地域特性に合わせたエネルギー自給という観点から対象エネルギーとしました。
住民アンケートについて
市民の皆様の環境問題やエネルギー問題への関心はとても高くなっています。
市の取組みとしては、経済性を見ながら環境問題に取組むべきであるといった意見が多くなっています。
新エネルギー導入の基本方針
基本理念
新エネルギーの活用による人と自然が響き合う新「文化」都市の実現
南アルプス市の将来像である新たな地域文化を創出するため、市民・事業者・行政の各者において、エネルギーの消費を抑え、自然エネルギーや未利用エネルギーを意識して取り込みます。
基本方針
- 地域全体でのエネルギー改革
行政は新エネルギーの公共施設への率先導入により新エネルギーの効果を示し、市民や事業者は各自の生活等に新エネルギーの導入を図る。 - 新エネルギーによる産業発展
市内の新エネルギーを有効活用することで、市の産業の発展と資源循環社会の構築を目指す。 - 普及啓発をとおした意識改革
地域住民や次世代を担う子ども達への新エネルギーの普及啓発をとおして、環境に対する意識改革及び新エネルギーの民間導入を図る。
新エネルギーの導入目標
南アルプス市では、2014年時点の総エネルギー消費量(一次エネルギー換算)7,145,430ギガジュールのうち、約3%を新エネルギーに代替することを目標とします。
これは、南アルプス市のアルプスプラン2005における新エネルギー導入計画を基に実現性の高い導入可能量を市民・事業者・行政においてそれぞれ試算したものです。
また、2014年以降も順次新エネルギーの導入を図ります。
新エネルギー導入目標量218.634ギガジュール/年
約15,000世帯分が賄えます。
新エネルギー導入プロジェクト
主な新エネルギー導入プロジェクト
新エネルギーの導入目標を達成するため、市民・事業者・行政が、自ら新エネルギーの導入を推進していくことが必要となります。
行政における新エネルギー導入施策
- プロジェクト1 公共施設に向けた新エネルギー導入事業
公共施設に太陽光発電装置を率先導入し、新工ネ導入のモデルケースとする。 - プロジェクト2 教育施設への新エネルギー導入事業
ソーラーシステムを小・中学校の教材として活用し、児童生徒の環境・エネルギーに対する関心を高める。 - プロジェクト3 クリーンエネルギー自動車導入事業
公用車にクリーンエネルギー自動車を導入して新工ネの効果をPRし、民間の運輸部門でのエネルギー削減を図る。 - プロジェクト4 廃食用油リサイクル事業
家庭や給食センターからの廃食用油をBDF(注)に再生し、公用車に利用することにより、地域内外へのPRを行う。 - プロジェクト5 小水力発電導入事業
市内の河川等に小水力発電装置を導入し、電力を周辺施設の電源として活用を行う。
(注)BDF:バイオディーゼル燃料、天ぷら油等がら車の燃料にしたもの
その他、順次新エネルギーを導入
総一次エネルギーの約3%を新エネルギーに転換
導入目標の達成
推進体制
市民の取組み
- 新エネルギーの積極的な導入や取組みへの参加
- 環境施策等への提言
- 市民自身による普及啓発活動
- 省エネルギーのさらなる推進
事業者の取組み
- 新エネルギーの積極的な導入
- 新エネルギー機器の技術開発
- 新エネルギー機器の市民への公開
- 地域活動への積極的な参加
行政の取組み
- 新エネルギーの積極的な導入
- 新エネルギーの導入効果の発信
- 新エネルギー導入の支援事業
- 環境教育事業
- 新エネルギーの社会教育事業
- 廃食用油活用推進事業
市民・事業者・行政の三者の取組み
- 2014年の導入目標の達成